新しいテーマについてのメモ
扱うもの:RNaseL(2-5A systemで最後に誘導されるリボヌクレアーゼ)
特徴:インターフェロンに応答して産生される。ヒト、マウス、ウサギの細胞で確認(哺乳類に共通の仕組み)。ウイルスRNAの分解、ウイルス増殖の抑制、細胞のアポトーシスに関与。
産生までの流れ:dsRNA or インターフェロンを細胞に投与、2-5A synthetaseとRNaseLの合成誘導→2-5A synthetaseによる2-5Aの合成→2-5AがRNaseLのankyrine loopと結合→RNaseLの構造が変化→RNaseL同士がKinase-like domainで結合し二量体化(RNase活性化)→RNAの分解
リボヌクレアーゼとしての働き:polyUを認識して非特異的に切断。in vitro実験系でU↓U、U↓A、U↓Gでの切断を確認。polyA or C or GやpolydT or A or G or Cでは切断が見られない。
分子量:msのデータはまだ見つけていない。murine RNaseLは65kDA位。(電気泳動後のバンドから判断していた。)
アミノ酸残基数: human:741 murine:679
構造:N末端側からankyrine-repeat domain(23-335)、kinase-like domain(364-583)、nuclease domain(584-720) 特にC末端付近のGlu711からHis720がリボヌクレアーゼ活性に必須の部分となっている。(ちょん切ると活性を示さなくなる。)
発現:murine cell、insect cell、E.coliでの実験系を確認(但し、RNaseLがモノマーの状態でもE.coliに対しては毒性を発揮)
収量:E.coliでの発現では、4Lスケールで1.5mgのrecombinant human RNaseLを得ていた。(E3RNaseでの場合(300mlスケールで10mg)と比べると大分少ない。inhibitorが無いからか。)

<考えておくこと>
・ネズミでやるか、ヒトでやるか。(ネズミ細胞は研究員の人が管理。ヒトの細胞でもいけるのか調べてみる。)
・RT-PCR 経験者がいるようなので、教えてもらう。
・vector 論文ではpKK223-3にクローニングしていた。うちにあるか?無い場合はどうするか?(買うか他のもので代用?)
・E.coli 論文ではJM105 or 109 
・発現 growthは相当遅いらしい。final.o.5mMのIPTGで誘導
・精製 イオン交換クロマトグラフィー×2、ゲルろ過クロマトグラフィー、protein liquid chromatography(なぞ) His-Tag精製は使えない?
・切断 活性を高めるには2-5A、ATP、Mg2+ or Mn2+ の添加が必要

追加
酵母のIre1pはRNaseLと相同性あり。ただしこちらはRNAをかなり高い特異性で切断。また、ankyrine-repeat domainは持たず、unfolded protein にsensitiveな部分を持つ。構築するとしたらこちらからの方が楽であろう。論文を読んでみる。酵母菌での役割はmRNAのスプライシングに関与するらしい。

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